タップチ日記

映画、本、スポーツについてずらずらと

原節子、降臨。その5

まだ、文庫本のドストエフスキー著「白痴」を読み終わっていません。まだ、導入部でちんたらしています。やはり、映画とは全然違い、いささかややこしい登場人物の紹介から始まっています。

でも、面白そうなので、もう少し読み続けたら、いつものように、エンジンがかかると思う。

乗ってくるとページをめくるのももどかしくなってくる、あの感じに久方ぶりになりそうな予感が。

原節子、降臨。その2

原節子さんの映画では、世評が高い小津安二郎監督のものより、黒澤明監督の「わが青春に悔いなし」や「白痴」、また、木下恵介監督の「お嬢さん乾杯」が好きだ。

黒澤監督のものは、日本人にはなかなかいない自己主張をしっかりする、気性の激しい女性像描かれてい、木下監督のものは、しっかりとしたコメディで、爆笑物の一本だ。

「白痴」の冒頭、写真館の前で、森雅之三船敏郎の主人公二人に見つめられる原さん演ずる「那須妙子」のポートレイトが、秀逸だ。

黒マントを着て、真正面を挑戦的に見つめている。愛らしさは少しも感じず、ただならぬ気配で、これから始まる物語の、荒々しいさまを予見させる。

原節子、降臨。

本当は、原節子様、降臨と書きたいところですね。

今はなき、浅草東宝黒澤明特集のオールナイトで、「わが青春に悔いなし」を初めて見たときには、驚きました。

素晴らしい女性映画ではないか。

それまで、かすかにお嬢様女優としての、原節子さんを知っていましたが、この映画の後半部分に描かれる黒光りする原さんの表情に素直に感動しました。

影武者の山崎努は素敵だ。その4

信廉の登場シーンで一番好きなところは、初めて仲代影武者を信玄の屋敷で、各部屋を案内し近習や小姓に紹介するシーンだ。

在りし日の信玄を思い出し、しばし沈思黙考する時の足の運び、表情が素敵だ。うんうんと頷きながら、仲代影武者を見守っている。

このどうと言うことのない自然な演技が、日本の俳優さんには難しいようだ。怒り、喚き散らすような演技の方が、よっぼと楽に出来るのだろうと、素人の私でも思いますね。

この静かな緊張感を持続する演技力は、賞賛に値します。是非、あなたも、主演山崎努の影武者をご覧ください。

影武者の山崎努は素敵だ。その3

信玄の影武者を長年務めてきた、山崎努扮する信廉(のぶかど)の笑顔が素晴らしい。

いつも静かに笑っていて、先輩影武者として、粗野で茶目っ気のある仲代影武者へ信玄らしい立ち振る舞いを教え諭す様が、何ともお家の大事のために自分の出来ることを、最大限発揮しようとしている姿に、ため息がもれてしまう。

会社や組織でも、このような右腕となる部下をもったら大将も安心出来ることであろう。

だが、感情移入すると、所詮、信廉はナンバーツーとしての人生しかなかったと思い込んでいたであろうから、あまりに慎ましくて、そこが物足りないところだ。